日本における取引所の運営の再開を模索する中で、当社の経営陣及び取締役会は、 Liquid Japanでご提供できる、最初の主要な機能の強化の一つとして、Proof of Solvency(支払い能力証明)の開発と実装に投資する戦略的決定を行いました。私たちは2022年の業界全体から学んだ教訓を生かし、どうすれば当社は金融機関の財務の健全性と安定性を証明できるのかについて検討を重ねています。
暗号技術とゼロ知識証明に基づくProof of Solvencyは、中央集権的な取引所で取引を行う利用者にとってのセキュリティと透明性を強化する上で極めて重要なステップであると考えられています。 Proof of Solvencyを実装することで、私たちの目標は、お客様との信頼関係を築き、暗号資産と伝統的な金融の双方の金融機関に新たな基準を設定することだと信じております。
暗号資産取引所や金融機関が支払い能力を証明するには、主に2つの方法があります。
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伝統的な方法
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暗号技術を用いた方法
伝統的な方法
伝統的な方法では、第三者監査法人に依頼し、組織の数字、勘定科目、その他の機密情報を徹底的に調査してもらい、支払い能力を示す報告書を作成してもらいます。しかし、この方法には、時間やコストがかかる傾向があり、第三者がこうしたデータにアクセスするため、個人のプライバシー保護に欠けるという問題があります。また暗号資産業界において、従来の伝統的な方法で準備金の監査を行っている企業もあります。
暗号技術を用いた方法
暗号技術を用いた方法は、ゼロ知識証明と呼ばれる革新的な技術を利用するものです。この方法では、ある組織が暗号技術による証明(zk-proof)を作成することができ、その証明により、ある当事者は、追加的な情報を開示することなく、第三者に対して支払い能力の表明の真実性を証明することができます。
当社は、金融商品取引業の認可を受けた事業者として、監査済みの年次財務諸表を引き続きホームページで公表して参ります。また、お客様の資産を分別管理し、暗号資産をコールドウォレットに保管し、法定通貨を信託口座に保管するというこれまでの取り組みも継続していきます。毎週の資産の分別管理に関する情報は、当社ウェブサイト でご覧いただけます。
当社の業務にProof of Solvencyを導入することで、高度な暗号技術に基づくセキュリティと情報の透明性をさらに高めています。 Proof of Solvencyは、資産の分別管理に関する詳細な知識を必要とすることなく、シンプルかつ効率的な方法でお客様が残高を確認できるようにするものであり、同時にお客様のプライバシーを保護するものでもあります。なお、SBIクリアリング信託の口座に保管されている法定通貨残高以外については、暗号技術による方法では第三者の監査人に依頼する必要がありません。
私たちは、zk-SNARKやzk-Proofsのような監査を可能にする暗号化ツールを使用してProof of Solvencyを毎日公開することで、暗号資産の持つ大きな可能性を広げ、暗号資産を扱う金融機関や取引所に対する信頼を回復する一助となることを切に願っています。